マイネスから連絡を受けたリリネットは、全力疾走でシリムスの待つ森の倉庫へ向かいました。そこに着く前からなぜシリムスが呼んでいるのか分かっていました。

リリネットが頼んだものが完成したのです。彼女はシリムスに、謎の物体の調査以外に、もう一つのことを頼んでいたのでした。リリネットが森の道を走っていると、後ろから呼び声が聞こえます。
「リリネットさま〜」
ロ・ジャンの声でした。リリネットは振り返ります。しかしそこにはシエラもいました。どうやらシリムスはシエラも呼んでしまったようです。リリネットは内心「ちっ」と思いました。これから見に行くものは、シエラには何日か後に見せようと思っていたのです。
「あら、お二人も呼ばれたのね」
「ええ、先ほどマイネスから倉庫に来るように呼ばれました。一体何があったのでしょう?」
シエラはリリネットに不機嫌そうにいいます。
「リリネット、なんで私も来なくちゃいけないの?」
「見れば分かるわ。あなたに重要なことよ」
三人が喋りながら歩いていると、シリムスが向こう側から歩いてきました。髭が乱れ、顔が少しやつれたようです。
「皆様、ようこそ来てくださった。例のものが完成いたしましたぞ。リリネット様、このあたりで少しお待ち下され、今それをこちらに動かしてきますので」
「ご苦労だわ、シリムス。ずっと楽しみだったのよ」
ロ・ジャンとシエラは二人の会話の意味が理解できません。

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