ロ・ジャンとシエラが外で話している頃、リリネットは、家の書庫にいました。今となっては理解できるのですが、リリネットはちょっと前まで自分の両親が学者であることを知らなかったので、今までずっと、なぜ家にこんなに本があるのか不思議でたまりませんでした。

シリムスが倉庫に篭っているのであれば、リリネットはここ最近ずっと書庫に篭って色々な本で調べ物をしていました。リリネットはよく周りから「もっと勉強をするように」と言われていますが、実は勉強が嫌いなわけではありません。むしろ大好きなのです。でもあまりに周りから勉強するように言われるので、むしろ意地になって、全然勉強していないようなふりをするようになってしまいました。 リリネットは今、カサランドラを探しに行くにあたって必要と思われる知識を片っ端から調べているのです。自分でも一体何が必要な知識なのかあまり良く分かっていませんでしたが、何も知らないよりは何かしら知っている方が当然いいと思いました。リリネットの頭の中ではもうカサランドラの旅の全景が見えています。その旅を指揮するのは当然自分だと思うし、指揮するからにはある程度の知識が必要だと思いました。実はかなり真面目なお嬢様なのです。
『トントン 』
リリネットが本の内容に入り込んでいた時、書庫のドアをノックする音が聞こえました。
「どなた?」
「護衛隊2軍のマイネスであります。シリムス様よりリリネット様へ言付けを頼まれました。今すぐ森の倉庫にいらっしゃるように、とのことです」
それを聞いて、リリネットは目を輝かせ、分厚い本を勢いよく閉じました。
「分かったわ!マイネスありがとう。今すぐ行くわ!」

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