シリムスが倉庫に篭ったまま出てこなくなってから、早7日程経ちました。ロ・ジャンはリリネットの家を警備しつつ、少しぼ〜っとしていました。そんな彼を呼びかける声が。
「あら、兵隊さん」

ぼ〜っとしていたロ・ジャンは一瞬誰に呼びかけられたのか分からず、前に立っている女性を5秒ほど眺めてしまいました。
「あ、あぁ、シエラ様!今日は赤い操縦服を着ていらっしゃらなかったので、誰だか一瞬分かりませんでしたよ」
「あんなスーツず〜っと着てるわけないでしょう。あのむかつくリリネットお嬢ちゃんが、親切にも洋服を用意してくれたわ」
それを聞いてロ・ジャンは少しむっとします。
「リリネット様のことをそんなに悪く言わないで下さいよ。確かに我ままで、自分勝手で、人使いめちゃくちゃ悪いですけど…でも根は本当に優しい方なんです」
「あら、あんなにこき使われてるのに、リリネットをかばうのね。好きなの?」
ロ・ジャンは一瞬にして顔を真っ赤にし、慌てて否定します。
「違いますよ!あくまで護衛係として慕っているまでです!」
シエラはやさしく微笑みながら言います。
「あなた可愛いわね。え〜っとお名前は何でしたっけ?」
「可愛い…なんと言われてもあれですが…。私はロ・ジャンと申します」
「ジャン…!?」
「あ、いえ、ロ・ジャンです。ロ・ジャンで一つの名前ですが?」
「あ、そう…、ジャンじゃないのね…」

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