森に残されたシリムスとロ・ジャンは、リリネットのあまりの行動の早さ、無茶さに暫くの間呆然としてしまいました。気を取り直して、ロ・ジャンが口を開きます。
「っしっかし、リリネット様は一体何を考えていらっしゃるんでしょうねぇ。

お嬢様が率先してお手当てをなさること自体は大変結構なことですが、ただ、誰かも分からぬ者を自分の部屋に入れるというのは少し無用心ですし、第一、墜落した飛行機を隠せというのは…」
シリムスはロ・ジャンの顔を見て、少しバカにしたような笑みを浮かべながら言います。
「お前もまだまだじゃのう。 リリネット様に就いてもう1年も経つのに、まだお嬢様の頭の回転の速さに気付いておらんのか。お嬢様はたった今、欲しいものを2つ手に入れたんじゃよ」
「ふ、二つ???一体何をですか?さっぱり分かりません」
「分からんのか、 もっと頭使わんか。いいか、お嬢様は存在するかどうかまだ分からぬ「空の国」カサランドラに行きたがっておる。そこに行くには何が必要か?…そう、飛行機とパイロットじゃろうが」
「え、そのためにあんなにやさしく振舞っているのですか?何て方だ。でもあの女性が『はい』と言うわけないと思いますが」
「恐らく、あの方法で取引するんじゃろうな。その頭の良さを勉学に使って欲しいものだが」
「取引って??」
「ロ・ジャン、少しは自分で考えろ。第一お前今顔がすっごくリアルじゃぞ?」
「え…そんなこと言われても…勝手に…」

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