次の朝、リリネットとロ・ジャンは、リリネットの豪邸の外の、ある通りで待ち合わせました。今までリリネットの家の外で会ったことはなかったので、ロ・ジャンはなぜ外で待ち合わせするのか分かりませんでした。 しかも、リリネットに私服で来るように言われたのです。制服じゃない方が逆に緊張します。
10分後ぐらいに、リリネットが現れました。リリネットも普段着ているドレスとは違って、普通の町の女の子のようです。ロ・ジャンは、一瞬その子がリリネットがどうか迷ったぐらいです。なぜだか、リリネットは意識的に地味な服を選んでいるようですが…。
「お、おはようございます。リリネット様」
「ロ・ジャン、今日は「様」を付けないで呼び捨てにしてちょうだい。今日これから行く場所で様付けなんてしたらすごく不自然になるの」
「いやっ、しかし…」
「いい?私のことを今日はリリネットと呼ぶのよ」
「はっ、ハイ、リリネットさ…リリネット…。いや、しかし今日はシリムス様のお家に行くのですよね?逆に私服では、私は失礼では?」
「行けば分かるわよ。さぁ、行きましょう。」
リリネットがとことこ歩き出しました。
「あれ、リリネットさ…、シリムス様の家は逆方向ですよ?」
「いいの、黙ってついてきなさい」

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