リリネット達は、どんどん街の中心から離れていきます。ロ・ジャンは、普段リリネットの家のあるロゼンナ地区からあまり外に出ないので、自分が見慣れている町並みとは違う地域に入っていくにつれて、段々不安になってきました。

「リ、リリネットさ…、この辺りはもう、そろそろゲグゼーラ地区ではありませんか?この地域は治安が悪く、人々も労働者階級でガラが良くありません。シリムス様がこんなところにいるとは思えませんし、道を間違えていませんか?引き返しましょう」
「あらロ・ジャン、体が震えているわよ。あなた本当に護衛隊の一員なのかしら。ロ・ジャンはこの辺りの地域に足を踏み入れたこともないみたいね。あ、この通りよ、ここを奥に入りましょう」
リリネットがこれから入ろうとしている通りは大変薄暗く、汚い通りです。普段豪邸に住んでいるリリネットからすると、明らかに場違いのようですが…。
「リ、リリネットさ…?こんな危なそうな道に入ろうというのですか?非常に危険ですぞ?身分がばれたら、一体何されるか分かりませんよ…?やめましょうよ…」
リリネットはロ・ジャンと違って、全く動揺していません。逆にビクビクしているロ・ジャンをバカにしたような笑みを浮かべています。
「だから、私は地味な服を着てるんじゃないの。ロ・ジャンはいい格好をしすぎだわ。ほら、行くわよ」
リリネットはその暗い道をぐんぐんと進み、ある建物のドアの前まで来ました。何かの製作所のようなところみたいですが、この場所がどうシリムスと関係があるのでしょうか。

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