リリネットとシリムスの喧嘩まがいの会話を聞いてしまったロ・ジャンは、しばらくどうしていいのか分からず、ぼ〜っとしてしまいました。リリネットがしばしの沈黙を経て、ようやく口を開けます。
「あら、なんて態度なのかしら?だから私はシリムスに聞くのは一瞬ムダだと思ったのよ。でもまぁいいわ。シリムスは明日勤めが休みの日よね?」

「は、はい。シリムス様は明日休養日でございます」
「なら、明日聞き出しましょう」
「は?シリムスさまは明日はこちらには来られないのですよ?」
「彼はこの建物の中にいる時は、とても口が堅いのよ。ロ・ジャン、明日もちょっと付き合ってね」
「はぁ、シリムス様のお休みをお邪魔するのは、あまりいい気がしませんが、お付き合いさせていただきます。あ、一つ聞いていいですか?」
「何?ロ・ジャン」
「リリネット様は一体どこでカサランドラのことをお知りになられたのですか?私はそんな噂、生まれて一度も聞いたことがございません」
リリネットは、少し宙に目を泳がせましたが、答えます。
「パパの…机の書類から…。いつもいないから一度、机の中のぞいちゃえって思って。出かけ先とか知りたかったし。そしたら、『宙に浮く国「カサランドラ」の噂について』みたいな書類みつけてしまって」
「…人の机の中を覗くのは、あまり行為ではありませんね」
「最初はそんな噂バカらしいって思ったけど、この自転車を発見して、カサランドラの存在に確信を持ったわ」

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