第二話

午後2時、涼子の普通の生活はまだ続いていた。もちろん、その時の涼子は、これから降りかかる出来事のことなど知るよしもなかった。高校3年生になる涼子は、最近早く下校できることが多くなってた。受験勉強のためだ。いつもは塾がこの後あるのだが、今日は塾の都合で休みだった。…行ければこんなことにならなかったかもしれない。
校門から出てスタスタ帰る涼子を、ある女の子が涼子を呼びながら走ってきた。
「りょ〜こ〜」
部活で一緒の薫だ。3年ではクラスが別だが、今でもよく一緒に帰る。
「あれ?涼子今日塾じゃなかったっけ?」
「あー、今日は塾休みなんだ〜。吉祥寺でも寄ってから帰るつもり。薫も一緒に行く?」
「あーごめん、今日は中学の友達と映画見に行く約束してるんだ〜。また今度誘ってよ」
こんなような会話をしながら、2人は駅に着き、お互い反対方向の電車に乗って別れた。その後涼子は吉祥寺で、なんの目的もなくただブラブラしてた。
「そろそろ帰るかな〜」
6時を過ぎてた。夏が終わり、秋の夜は早い。もう大分暗くなってた。涼子の家の近くに行けば行くほど電灯の数が減っていく。塾の日はいつももっと遅いのに、なんか中途半端に遅い時間だと余計なんとなく怖い。
「(あ〜、結構今日どうでもいいものばっかり買っちゃったな〜。大してお金もないのにな〜)」
涼子がそんなことを考えながら、家の近くの十字路に差し掛かったその時…!

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