二日目。(2月8日)
  結局昨日は3時半ぐらいまで起きてしまったが、その日の朝は7時半には起きた。その日は、リヨンに移動しなければいけなかったのだ。その前の日に寝すぎたのだろう、4時間睡眠でもちっとも眠くなかった。

 流石日本で取ったホテルだけあって、朝食付きである。私はフランス短期留学時代は、朝食付きのホテルなど、2回泊まったことがあるかどうかぐらいである。はやり、貧乏学生だった私にとって、朝食は異様に高い。ただでさえ、ホテル代をけちって安いホテルばかり探していたのに、朝食付きにするぐらいなら、外のパン屋のパンをほうばってた方が安上がりかな〜といつも思っていた。

 ホテルの朝食は一回のレストランでバイキング形式。まぁ、バイキング形式とは言っても、フランスとかの朝食は、パンと、パンに付けるものと、飲み物のたぐいぐらいしかない。バイキング、つまり食い放題ということで、私は12cmぐらいの輪切り(?)にしたフランスパン二個と、とてもおいしいクロワッサン2個をガツガツ食った。パンに付けるものも、この際だから色々試してみた。アプリコットジャム、お手製のリンゴジャム、バター、それにはちみつである。欲張りすぎだ、バカ女め。その4種類をとっかえひっかえ付けまくってた。
 私が食べ終わるごろに、日本人女学生4人組がレストランに入ってきた。私はどうも外国の日本人の観光客(自分も観光客なのだが)を見ると、無視してしまう傾向にある。どうも外国の日本人は、キャピキャピし過ぎて目立つ。写真は私が泊まったホテル「アルナシオン」

 本当はもっと早くホテルを出発する予定だったが、結局9時半頃にホテルを去った。パリ−リヨン駅は、私の泊まったホテルから目と鼻の先のはずである。…がしかし、地図もろくに見ずに、方向もあまり考えずに歩き始めてしまったので、道に迷って駅に到着するのにかなり時間がかかってしまった。

 駅に着いたら、間髪入れずにチケット発行機で、TGV(フランスの新幹線)の時間と値段を調べる。11時発のリヨン行きが丁度あったので、窓口で即座にチケットを買った。
  なぜ発行機でそのまま買わなかったかというと、フランスのチケット発行機はICチップ入りのクレジットカードでしか買えないからである。だから私はいつも、発行機の画面で、空いてる列車の時間と値段を調べ(注:フランスのTGV等長距離列車は、時期や時間帯によって、一本一本かなり値段が違うので、ちゃんと調べないと損することが多々ある)、その情報を基に窓口で人間相手にチケットを買うようにしてる。たまに何も調べずに窓口で自分の条件にあったチケットを窓口の人に延々調べさせているバカフランス人をお見受けするが、あれはやめてもらいたい。その人のせいで、後ろは長蛇の列を作る羽目になるからである。

 出発まで暫く時間があったので、テレフォンカードを買って、リヨンで泊めていただく友達に到着時間を電話する。

 TGVの私の席は、2階建て車両の二階窓側である。写真が取れるラ〜ッキ、と思ったのもつかの間、後から来た通路側のおばさんに「窓側に変えてもらいたい」とお願いされる。写真が取れなくなるので、少し躊躇したが、まぁ、そこまで固執することでもなかったので、快く変わってあげた。どうやらそのおばさん、自分の荷物が大きいので、自分の荷物が通路の邪魔になるのが嫌だったようである。まぁ、私は彼女のおかげで、通路側に座って、社内を写生することができたのだから、まぁよいかという感じである。写真はスケッチをさせていただいた方々(無断でこっそり写真まで撮ってる)。

 フランスの携帯は非常にちゃっちい。呼び出し音は今だに1和音(和音じゃない)のものが多く、小型なのはいいのだけれど、友達曰く、小さいだけで何もできないとのこと。メールも今だにインターネットじゃなくて、昔はやったショートメールレベルのものだそうである。フランスの携帯マナーはまだ完全に規制しきれていない。日本よりマナー規制が遅れているのは少し驚いたが、まぁ、携帯自体が遅れていたわけだから当然なのかも。
 私の隣のおばさんも、TGV内で携帯で延々話していた。旅行中電車内とかで携帯で話す人を多く見たので、フランスではまだ禁止令は出ていないようだ。

 12時55分、リヨンに到着。パリ−リヨン間は2時間ほどの距離である。東京−静岡間ぐらいの距離なのかしら?待ち合わせ場所をろくすっぽ把握してなかったが、難なく友達と久しぶりの再会を果たす。普段チャットをよくやる友達なので、あんまり久しぶりという気がしなかった。友達の寮はその駅から歩いて10分ほど。重い荷物を持っていた私にとっては嬉しい限りであった。

 日本からの長旅ということで、やっぱり少し疲れていたようで、友達の部屋で2時間ほどごろごろする。ようやく重い腰を上げて、お昼を食べに行くことにした。
 フランスの日曜ほどつまらないものはない。日本だと考えられないことだが、フランスは、日曜日は殆どどこの店もやっていない。リヨンだけでなく、パリでもそうである。日曜日は働かない日とずっと昔から決まってしまっているようだ。そういえば、昔旅行したバルセロナは、土日殆ど店がやってなかったな…う〜んヨーロッパ。

 そんなわけで、2月8日は日曜日だったので、空いているお店は殆どなく、ようやく近くのケバブ(Kebab)屋さんを見つけた。私はケバブが大好きなのだ。ケバブとは、何の肉だかわからないが、その肉と野菜をふんだんに入れたピタパンサンドである(日本では、原宿など都心で、四角い車で外人さんが肉の塊をナイフで切り落として売っているあれである)。はっきり言って、日本のケバブはお話にならない。高いし、第一小さい。反対にフランスのケバブは非常に大きく、これは夕食にしてもいいかな、という量である。普段は、ケバブはサンドウィッチのような感覚なので、買ってきて家で食べることが多かったのだが、その日は、ケバブ屋の店内でテーブルについて食べた。

 久しぶりのケバブはやはり大変おいしかった。やっぱりこれがなくっちゃ!
 近くのテーブルにドーベルマンを連れた夫婦が座った。日本では考えられないことだが、フランスではペットを飲食店によく連れ込んでくる。なぜだか分からないが、フランスの犬は日本の犬よりもはるかに行儀がよく、吼えないし、静かに長時間座っていられるようである(まぁ裏を返せば、動物性を矯正されてしまっているということなのだろうが)。
  しかし、その夫婦とドーベルマンは異様であった。夫婦は自分たちのテーブルの上に、そのドーベルマンの顎を乗せた上体で、彼らが食事を取り終わるのを待たせていたのである。犬にとっては、これほどきつい「おあずけ」はないと思うのだが、外から見ている私たちにとっては、これほど滑稽で笑える風景はなかった。というか普通にかなり笑ってた。食べている間、その犬が気になって仕方なかったのは言うまでもない。

 とてもお腹いっぱいになったので、ケバブ屋から少し距離があったが、リヨンの中心ショッピング街(?)のベルクールまで歩くことにした。途中中国系の店で、その日の酒盛りようのライチ酒のビンを購入する。

  ベルクールではまず、やらなければいけないことは、サンテグジュペリと星の王子さま像を探すことであった。ベルクールの広場のどこかにあることは知っていたが、留学時はついに発見できなかった。今回はリベンジで、ようやく見つけることができた。広場から道路を隔てて5,6メートルのところに像があったのだが、いやはや、これは見つかるはずがない。像の下の部分の土台が高さ8メートルぐらいあるのだ。像はその上についていた。これは上を見ながら歩かないと見つからないだろう。下の土台は要らないなぁ。多分夜間飛行とか、空を飛んでいるイメージで高くしてみたのだろうが。

 ベルクールを通り越して、リヨン旧市街(Vieu Lyon)を歩いた。(Vieux Lyonの景色はこちら!)
  私の今回の旅の第一の目的は、絵の題材になるような風景を写真に撮ることである。Vieu Lyonは「お絵かきさん」で過去に絵を描いたことがあるように、非常に素晴らしい世界遺産の旧市街である。建物の色はだいたい赤・茶系に統一されていて、どちらかというと現実の世界というよりはファンタジック。くねくねくねくね良く歩いた。友達も自分も足がかなり疲れていたので、カフェに入って“vin chaud”(バンショ)を飲む。vinはワイン、chaudは英語のhotと同義語である。つまりあたたかいワイン。普通のワインと違って、結構甘い味なので、非常に飲みやすく、心温まる飲み物だ。フランスのカフェはやっぱり本当に長居できるなぁ。

  帰りは足が棒のようになっていたので、地下鉄(Metro)で帰る。余談だが、東京の営団地下鉄は、4月1日から「東京メトロ」になるらしい。名前が変わるのは一向に構わないのだが、あの若草色のユニフォームが青になるそうだ。それだけはやめてもらいたい。私はあの若草色のユニフォームが好きなのだ。

 


  友達の寮に帰ったら早速酒盛り。途中で買ったライチ酒一本と、友達が持っていたアルコールを殆ど飲み干した。途中なぜか私がスパゲティを軽く酔いながら料理したりして、これまたそのスバゲティはとても旨かった。

  酔ったまま顔も洗わずに寝てしまったが、どうやらワタクシのいびきが酔いのせいで調整がきかず、友達は5時間ほど眠れなかったそうである。テレビの音で夜中起こされた私は会わす顔がなかった…。

2月7日の日記                              2月9日の日記

 

 

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