リリネットは続けます。
「シリムスはいつもウソばっかり。よく、自分が知っていることでも、私には隠していることが多いのは、とっくに気付いていたわ。あなたはひょっとしたら、この物体が何なのか知っているし、この非常に軽い金属のことも知っているんじゃない?そして、どこからこれが落ちてきたかも…」

シリムスは全く表情を変えず答えます。
「私がこの物体が何から出来ているのか、知るはずがないでしょう。私はたくさんの本を読み大抵のことならば知っておりますが、機械だの、科学だの、金属だのに関しては全く理解できませぬ」
リリネットは、今度は全く話題の違う話をし始めました。
「ねぇシリムス、ママとパパは今度いつ帰ってくるの?」
「ライデル様とレルーラ様は一週間前に出発したばかりでしょう。いつものように3ヶ月は経たないと帰ってこれないと思います」
「パパとママは一体どこにいつも出かけているの!一年の中で殆ど家にいないじゃない!3ヶ月どっかに行って、1週間家にいるだけ、そしてまた3ヶ月どこかに行ってしまうじゃない!しかも、私には一度も行き先を教えてくれないのよ!」
「ライデル様とレルーラ様はお仕事でお忙しいのです。行き先はいつも違いますし、いちいち行き先をリリネット様にはまだお伝えしないように申し付けられております。きっと教えたら、リリネット様が心配されて勉強に身が入らないと考えられたのでしょう。 申し訳ございませんが、私は今急ぎの用事がございますので、このへんで失礼させていただきます。お力に添えずすみません」
そういって、シリムスはリリネットの返事を待つ前に部屋から出て行ってしまいました。

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