謎の赤い物体は、二人の予想に反して大変軽いものだったので、 二人は誰にも見つけられないように、それを手に持ち、急いでリリネットの部屋に戻りました。

リリネットの質問攻めに、ロ・ジャンは何も答えることができず、黙ってしまいました。確かにそうなのです。金属ででていると思われるこの赤い物体は、非常に軽過ぎるのです。力を入れなくてもすぐに持ち上げることができます。
「…たしかに。…じゃあ、リリネット様は、これが一体何であるとお考えなのですか?」
リリネットは自慢げに言います。
「これはきっと、カサランドラの自転車よ!」
「自転車?車輪がないようですし、形も異様では…」
「車輪なんて、空から落ちてきた時にきっとなくなっちゃったんだわ。ロ・ジャン、ちょっとそれにまたがってみてよ、全体をちゃんと見てみたいわ」
「はい、分かりました」
ロ・ジャンは、その自転車と思われる物体にまたがります。
「ハンドルもあるし、椅子の部分もあるし、やっぱりきっと自転車ね。…でも この四つの足みたいなのは何かしら?車輪を支えていたようには見えないわ。何か別のものが付いていたみたい…う〜ん、私は機械に詳しくないから、あまりよく分からないわ」

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