シリムスは急いで飛行機のガラス開け方を、得意の機械の知識を駆使しながら調べます。

彼は飛行機に触るのはこれが初めてでしたが、機械の構造は大して自動車と変わらなそうだと思いました。シリムスは細長い針金を使って、5分とせずにガラスを開けることができました。ガラスは上に開閉するタイプのものでした。
「開きましたぞ、リリネット様」
「本当にあなたはすごいわ、シリムス!」
3人は急いで開いたガラスから機内の様子を覗き込みました。中には、操縦席に座っている赤い飛行服を着た女性がいました。しかし目を閉じたままで全く動きません。ロ・ジャンが、慌てて言います。
「ここここの方、亡くなっているのですか!?」
しかし、リリネットとシリムスは冷静です。
「ロ・ジャンよく見なさい、胸の辺りが上下してるでしょう。息してるわ。気を失っているだけみたいよ。あぁ良かった」
そう言ってリリネットは身を乗り出し、その女性のほっぺを軽く平手打ちします。起こし方も偉そうなお嬢様です。
叩かれた女性は一瞬ぴくっと動き、目をぱっと開きました。
「はっ」
「よかったわね。見たところ、大きな怪我はなさそう」
自分に何が起こったのか、まだいまいち把握しきれていない女性は、3人を軽く見つめ、慌ててベルトを外して立ち上がりました。
「あなたたちは誰ですか?」

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