リリネットは手元にあったロープを引っ張ります。どういう仕組みになっているのかはわかりませんが、それを引いた途端、とても大きなチャイムの音がしました。
廊下の方から慌しく駆けてくる足音が聞こえ、ドアをノックする音が聞こえました。
「お入り」
リリネットがそういうと、部屋の大きなドアが開いて、一人の青年が入ってきました。彼は、リリネットの護衛係のロ・ジャンです。
「リリネットお嬢様、お呼びでしょうか?」
ロ・ジャンははきはきした人の良さそうな青年です。ちょっとまぬけなところがあるようですが…。
「ちょっと庭まで付き合って下さる?庭の真ん中辺りに、ちょっと変なものが落ちてるみたいなの」
「変なもの?? ひょっとして危険なものであれば、仲間の者を何人かお呼びいたしますが…」
「相変わらずあなたは臆病ね。一人で大丈夫よ、そんなに大きいものじゃないから」
そういって、リリネットはさっさと部屋を出てしまいました。ロ・ジャンは慌てて彼女の後をついて行きます。

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