シリムスの話を聞いて、リリネットは目を輝かせていました。なんて面白い話なのでしょう。彼女が最近ずっと憧れていた「空の国」は、本当に存在するのかもしれないのです。

リリネットは少し興奮する気持ちを抑え、冷静になってシリムスに質問を続けます。
「それで、そのカサランドラを調べるために、パパとママはいつも外国に出かけてばっかりなのね?この国にはその「飛行機」というものはないしね」 シリムスは一瞬びっくりしました。何も知らないはずのリリネットの推理がぴったり当たっていたからです。
「…その通りでございます、お嬢様。ライデル様とレルーラ様は、世界各地でカラサンドラの噂や、実際にカサランドラを見たという者を調査し、カサランドラを目撃した地区を、飛行機を使って調査したりしていらっしゃいます。お二方は、この国たっての大学者であり、科学、地理学など専門知識に造詣が深く、この様な素晴らしい地位にありながらも、ロシエリナ国のために日々調査をされていらっしゃるのです。もしかすると、カサランドラは安全な存在ではないのかもしれないからです」
リリネットは普段全く家にいない自分の親を今まであまり好きではありませんでしたが、今の話を聞いて、二人を尊敬する気持ちが芽生えてきました。 二人が学者であったことなど全く知りませんでした。多分、色々なことをリリネットに隠していたのでしょう。
「ありがとう、シリムス。さぁ、こっそりこの物体をあなたのお部屋に運びなさい」
「かしこまりました。出来る限りの分析をしてみます」
そういって、シリムスは部屋を去りました。

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