リリネットの姿に唖然としてしまったシリムスは、気を取り直して、二人を製作所の近くのカフェに誘いました。シリムスは、製作所の仲間には自分の本当の職業を隠していたのです。
「いやぁ、流石のわしも驚きましたわぁ。心臓止まるかと思いましたよ」
「私は探偵ごっこが大好きなのよ。あなたが勤めが休みの日に、何か全く別のことをしてることぐらい、大分前から気付いていたわ」
「しかしお嬢様、どうしてここでわしが働いてることを知ったんです?」
「だってあなた、いつも爪の間は黒いし、金属か鉄のにおいがするし、普段机の仕事をしているにしてはおかしかったんですもの。実はね、メイドのミラにここで働いていることを教えてもらったのよ」
「あ〜あ、ミラか!こんちくしょうめ、そういやあの子はゲグゼーラ地区出身だったな。どっかで見かけられちまったらしい」
シリムスは、リリネットの家にいる時とは全く別の人間のようです。顔から口調から態度から、全てが違うのです。ロ・ジャンは、シリムスは二重人格だとひそかに思いました。

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