外国語習得法講座 その4
文法の必要性
1. みんなが嫌う文法の重要性
外国語学習において一番嫌われるのが文法です。なぜなら文法は「一番難しくて、ちっとも面白くないから」というのが大方の意見です。私も英語を中学・高校で学んでいる時は、文法を勉強しているよりも、英語を読んだり、聞いたり、話している方がずっと面白いなと思っていました。しかし、
文法をしっかり学ぶことこそが、語学習得において最も重要なことなのです。
現在では、いたるところに「英会話スクール」があります。これらは即ち、英語学習の中で、「読み・書き・文法」より、「聞く・話す」に特化したスクールです。これは、「中学校、高校と英語を勉強してきたにも関わらず、文法学習ばかりで実用的なことが全く学べず、未だに英語を話せない日本人が多い」という事実から発生した学校体系です。確かに、中学・高校の「丸暗記詰め込み式受験英語」は、1人の語学好きを生むために10人の語学嫌いを作っていると言われているくらいで、実際6年間も英語を学んでいるはずなのに、日本人がこうも英語を話せないのは、中学・高校の文法を重視し過ぎた実用性に欠ける教授方法に問題がないとは言えません。しかしだからと言って、文法を軽視していいのでしょうか。私は「文法学習」が外国語習得の中で最も重要で、無視してはいけないものだと考えています。ピーター・フランクルも、
「では、まず何を学校で教えるべきかというと、文法です。いちばん知恵に近いもの、つまり変わらないものだからです。文法は言語の骨格であって、それがわかったうえで、読み書きや会話ができるのですから、文法はある程度教えなければなりません。」(フランクル1999,p.66)
と述べています。埼玉大学教養学部教授の奥本大三郎も、
「文法の教科書からその外国語を知ろうとするのは憲法を読んだだけでその国を知ろうとするのに似ているけれど、また文法を読まずに語学を学ぼうとするのは、その国でいきなり生活を始めるようなもので、無駄や、事故やトラブルも多いのである。」(現代新書編集部編1992,p.94)
と言っているのです。また、カトー・ロンブも文法の大切さをこう述べています。
「人間の思考活動に特有な性質として、あらゆる新しい現象、印象に対して、《なぜ》、《どうして》と反応する点があげられます。言語においては、この問いにその《非論理性》にもかかわらず、文法規則が答えてくれるのです、ですから、言語において文法を無視することは、科学において化学や物理学、数学や生物学の法則を無視するに等しい致命傷的誤りなのです。」(ロンブ1981,p.81)
つまり文法とは、言語の「骨格」であり、最も基本となるものだからです。むしろそれを無視してしまうと、かなり損をしてしまうルールなのです。
外国語習得において「文法」とは、まず始めにしっかり築いておかなかればならない土台なのです。文法の知識なくして外国語を習得することは絶対できないのです。
では次は、文法を学習するメリットについて考えてみましょう。
その4「2. 文法は外国語習得の近道」へ
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