外国語習得法講座 その3
学習は短期集中
3. 私の経験
私の「短期集中型」学習法の芽生えは大学1年生の時の冬休みでした。それまで私は、ただ大学の授業の宿題や課題をこなすだけで、フランス語を体系的に習得しているわけではありませんでした。その時その時では問題が解けても、いざ昔習った文法の問題が出てくると完全に忘れてしまっていてなかなか解けない状態だったのです。そこで私は、1年生の冬休みをフルに使って、フランス語の文法を教科書の始めから一気に復習することにしました。冬休みに入る頃には一通りの文法事項は学び終えていたわけだから、フランス語の基礎文法を一気に勉強し直したことになります。私は冬休みの間、毎日一日何時間も使って文法の教科書とにらめっこをし、隅から隅までを熟読し、文法事項やフランス語の動詞の活用を暗記していきました。するとどうでしょう、1冊初歩の文法書をちゃんと覚えただけで、今まであやふやだったフランス語文法が、しっかりとした「塊」として自分の中に習得できたことが実感できたのです。その時初めて私は、
外国語は「短期間で集中して」勉強すると良い、ということを学びました。
そして、次に短期集中で学習したのは、大学2年生になる前の2ヶ月の春休みでした。その時の私は、冬休み短期集中で文法を復習したおかげで、以前よりフランス語が理解できるようになっており、フランス語を勉強すること自体大変面白くなっていました。そこで私は、市販されている大変分厚い問題集を3冊購入し、それらを2ヶ月間で全て終わらせることを目標に立てました。その問題集は大変ボリュームがあり、3冊でおよそ1000ページもあるものでした。しかし、それはなかなかよく出来た問題集で、同じ問題を繰り返し繰り返し解かせてくれるので、難しくて投げ出したいと思うことは一度もなかったのです。むしろ問題を解くことが面白くて、どんどん前に進みたい気持ちにさせてくれる問題集でした。私は春休みの間、一日多い時は10時間近くその問題集をただひたすら解いているだけの日もあり、私はあの時ほどフランス語の学習をしたことはなかったと思います。努力の甲斐あり、2ヶ月後には見事その3冊1000ページの問題集を全て終わらせることができました。
終わらせた後は、大変な充実感と、フランス語の力が本当に「ぐぐっと」伸びたことが実感できました。また、その問題集以外には、リスニングの訓練として、その冬休みの間「星の王子さま」の音読CDを一日の中で耳が空いている時はいつでも必ず聞くようにしました。そしてライティングは、フランス人のメールフレンドを作って、その人と毎日のようにメールのやりとりをすることで練習しました。そう、私にとってその春休みは、まさにフランス語漬けの2ヶ月間だったのです。
その短期集中の学習の成果は、大学2年になって初めての授業からすぐに現れました。フランス語の文章も以前とは比べ物にならないくらい速く読めるようになったし、自分でも、あまり苦労せずに書けるようになったのです。また、CDを聞き続けたおかげで、フランス人の先生がしゃべるのも以前と比べてかなりはっきり聞き取れるようになったりました。
この私の経験が示すように、
外国語の習得において「短期集中型」学習が大変効果的なもの
であり、その学習の環境作りさえ頑張れば、誰でも短期間に自分の語学力を伸ばすことが可能だということをご理解して頂けたのではないでしょうか。本気で外国語を習得したいのなら、「短期集中型」学習を万人にお勧めしたいです。
さて次は、言語の骨格である「文法」について論じたいと思います。
その4「1. みんなが嫌う文法の重要性」へ
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